2026/08/12 19:18

01|きっかけ — 曲線ではない形をつくる
3Dプリンターでプロダクトをつくるとき、自然な曲線や滑らかな有機形態を扱うことは比較的容易です。一方で、私が興味を持ったのは、あえて曲線を使わず、多面体をつくることでした。平面と平面がぶつかり、少しずつ角度を変えながら連続していく。そこに、完全には予測できないランダムさを取り入れることで、単純な幾何学から少しずつ異なる表情が生まれます。
そこで、ひとつの完成形を直接モデリングするのではなく、形を生成するためのプログラムをつくりました。多角形を外側へ広げながらエクストルードし、異なる条件で生成した二つの立体を重ねる。そして、それぞれに共通して含まれる領域を計算することで、ひとつの形を導き出します。
形そのものを決めるのではなく、形が生まれるルールを設計する。
それがPOLY POTの出発点でした。
02|色と印刷 — Process as Expression
POLY POTでは、形だけでなく印刷そのものを表情の一部として扱っています。多色フィラメントを用い、積層ピッチを0.1mmに設定して、一層ずつ積み重ねていきます。フィラメントの色が少しずつ変化しながら積層されることで、単純な2色の組み合わせではなく、境界に繊細なグラデーションや揺らぎが生まれます。
さらに、POLY POTは多面体という形状を活かし、S/M/Lそれぞれで印刷方向を変えています。サイズを単純に拡大縮小するのではなく、水平面に置いたときにどの面が積層方向に対してどのような角度になるのかを変える。
その結果、同じデザインシステムでもサイズによって、光の当たり方、積層の見え方、色の現れ方が少しずつ変わります。
3Dプリンターにとって必要な「印刷条件」を、単なる製造条件ではなく、デザインのパラメータとして扱う。POLY POTでは、そのプロセスそのものをプロダクトの表情にしています。
03|POLY POT — 暮らしの中に、小さな風景を
名前のPOLYは、polygon / polyhedronなど、複数の面によって構成される幾何学を指しています。一方のPOTは、植物を受け入れる器としての、とてもシンプルな言葉です。複雑な生成プロセスから生まれた形を、日常の中で使えるシンプルな器へと落とし込む。それがPOLY POTです。
S/M/Lの3サイズは、植物を入れるだけでなく、M/Lはペン立てなどの小物入れとしても使うことができます。植物をひとつ置くための器として完結するのではなく、色やサイズの異なるものをいくつか並べることで、暮らしの中に小さなまとまりや風景が生まれてほしいと考えています。ひとつひとつは小さなプロダクトでも、複数が並ぶことで関係が生まれる。
ひとつの形から、いくつもの風景へ。
それが、POLY POTを最初のシリーズとして選んだ理由です。
